奈良地方裁判所 昭和47年(わ)103号 判決 1973年10月22日
主文
被告人を懲役一年に処する。
理由
(事実)
被告人は、守西正明と共謀のうえ、競輪施行者でないのに、別紙犯罪事実一覧表記載のとおり、昭和四七年四月一三日から同月一八日までの間、奈良市三条宮前町木下アパート内守西正明方で、同表「対象競輪」欄記載の各競輪の自転車競走に関し、一口につき一〇〇〇円を賭けて勝者を予想指示させ、的中者には右競輪場における払戻金と同率の金額(ただし最高限度一万五千円)を払い戻し、的中しないときは賭金を被告人らにおいて取得する約旨のもとに、同表「申込者」欄記載の青木利夫外八名をして、同表「レース別申込口数・金額」欄記載のとおり、合計二、七一九口、賭金合計二七一、九〇〇円の各申込をさせ、もつて勝者投票類似の行為をさせて財産上の利益を図つたものである。
(証拠)
一、第二回および第三回各公判調書中被告人および分離前の相被告人守西正明の各供述部分
一、被告人の検察官に対する供述調書(三通)
一、辻田孝彰、佐渡勝、垣内正也、坂口守正、嶋田誠己(二通)、守西正明(四通)の検察官に対する各供述調書
一、青木利夫(二通)、西口昌治(二通)、藪進、金信大の検察官に対する各供述調書各謄本
一、岸和田市事業部事業課長永野五男作成の回答書
一、明石市助役小川剛作成の回答書
なお、右証拠中、垣内正也の検察官に対する供述調書および嶋田誠己の昭和四七年六月二七日付検察官に対する供述調書は、検察官の署名押印を欠くけれども、証拠として取調べた検察事務官H作成の報告書および右各調書の用紙、体裁ならび記載内容に徴し、各供述は検察官Mの面前でなされたものであり、検察事務官Hにおいてこれを録取したうえ、所要の方式を履践し、各供述者の署名押印を得てそれぞれ供述調書としたことを認めるに足り、かつ、各調書はその作成者である右Hの署名押印を具備しているので、いずれも検察官の面前における供述を録取した書面として有効であると解する。
(累犯前科)
昭和四三年二月一四日京都地方裁判所宣告、自転車競技法違反罪、懲役六月、同年一二月二七日刑執行終了。
前科調書および被告人の当公判廷における供述により認定。
(適条)
自転車競技法一八条二号、刑法六〇条(判示所為全部を包括一罪と認める)(懲役刑選択)、五六条、五七条
(田尾勇)